作業療法士

精神科作業療法とは、精神科治療におけるリハビリテーションの一つです。
精神科でリハビリって何をするのだろう?と感じられる方もいらっしゃるかと思いますので、ここでは精神科におけるリハビリがいったいどのようなもので、作業療法とはどのようなことをするのかを皆様にお伝えいたします。

1. どうして精神科でリハビリが必要なの?

リハビリといえば、「歩く練習をする」「筋力をつける」というような運動療法を思い浮かべる方が多いかも知れません。
病気やケガの治療や後遺症を軽減するためにリハビリをすることはよく知られています。
精神科では、さまざまな治療で症状が改善しているが、「なんとなく疲れやすい」、「集中力がない」などの理由で、仕事や日常生活が以前のようにうまくできないと感じられる方がいらっしゃいます。
このような状態の回復を中心に支援し、社会参加と生活の質(QOL)の向上をお手伝いするのが精神科リハビリテーションです。

2. 作業療法(OT)ってなに?

ある人が「食事をする」「入浴する」「トイレにいく」「睡眠をとる」など日常生活に欠かせないこと、そのほか「ものを作る」「スポーツをする」「友人と時間を共にする」といったようなことはすべて「作業」といいます。
このように人の生活は「作業」で成り立っています。
「作業」は、私たちに健康な生活をもたらします。
誰にでも「やりたいこと」「する必要のあること」「まわりが期待すること」があり、それが上手くできているときには喜びや満足を感じるものです。
作業療法では、患者様にとってこの作業がより上手くできるようになることを目指し、作業療法士はそのお手伝いをします。

3. 日常生活の中で悩んでしまうことって?

たとえば・・・

 生活が不規則になってしまう
 頑張りすぎて疲れてしまい、やる気が起きなくなってしまう
 生活していても楽しいと思えることがない
 人と話したいけれど上手に声をかけられない

もちろんこれだけではなく患者様お一人お一人にそれぞれ違った悩みがあります。

4. どうして悩みに対処できるようになるの?

 通う場として利用し、社会的な生活リズムを維持する
 疲労やストレスに対処できるようになる。
 「原因に応じて、服薬、体力づくり、休息、リラックス法を身につける。」
 (原因に応じた対処方法を身に付ける。ご自身に合う活動と休息のバランスを整える方法を
 身に付ける。)
 様々な作業を経験することでご自身にあった楽しみをみつける。
 人のいる場に慣れる。作業活動を通して、人と関わる練習をする。

このような効果を期待して作業療法を行います。
患者様によって効果は様々ですが、人と交わりながら作業する事により、薬だけでは解決できない生活上の様々な悩み事や困難な事と上手に付き合っていけるようお手伝いいたします。

5. プログラムの例

作業療法の中では、作業活動を通して、生活の質の向上を目指していきます。
たとえば絵画の好きな方は絵画クラブに参加し、講師の指導のもと絵を描くことに取り組んだり、書道の好きな方は書道に取り組まれたりしています。
また「退院後の生活に必要となる」「料理が好きだった」といった方々は料理のグループ活動に参加されています。

~創作活動など~
和紙工芸・ちぎり絵・絵手紙・体操・編み物・卓上ゲーム(オセロ、トランプ、将棋)などに取り組むことで生活に役立てたり、楽しい時間を過ごしたりできるようにしています。

~料理グループ~
グループ活動であり、他の人と協力することや料理をつくることで喜びを感じていただくことが目的です。
退院に向け必要な家事も行えるよう、指導、援助させていただいております。

~絵画クラブ~
外来講師の指導のもと、絵を描くことを楽しんだり、木彫、版画などに挑戦したりしています。
創作活動による自己表現や、 生活を楽しむための時間が送れるようにしていただくことを目的として行われています。

~書道クラブ~
経験のある方や、集中力をつけたい方などを対象として行われています。

~病棟プログラム~
体操や適度な身体的活動を通して、基礎体力を維持し、自分の身体に関心を持っていただくためのプログラムです。

このように、さまざまな作業活動を患者様が選択して取り組みます。